ここでは下肢静脈瘤がどのような原因で起きるのかその仕組みについて解説。また、なりやすい人の特徴についても紹介しています。
下肢静脈瘤は足の静脈を流れる血液が逆流してしまい、足の下のほうに溜まった血液により血管が拡張して瘤のようになることで起こります。
血液が逆流する理由としては、静脈の中の静脈弁(逆流防止弁)が壊れてしまったり、うまく閉じなくなってしまったりするからです。
静脈は心臓に血液を戻す血管ですから、足の場合は重力に逆らって1m以上の高さを血液が上っていくことになります。
この時、ふくらはぎなどの足の筋肉がポンプの役割をして、静脈の中の血液を押し上げます。
押し上げられた血液が下に戻らないためにも、ハの字型の静脈弁がさまざまな場所にあるのですが、妊娠や出産、立ち仕事などが原因で、壊れてしまうことがあります。
例えば人は立った状態が長く続いて動かなくなると筋ポンプ作用が弱くなり、心臓に向かって上っていく血流の速さが遅くなります。
ところが心臓から動脈を通じて送られてくる血液の速度は変わらないため、血管内の圧力が高くなり静脈弁にかかる負担が大きくなって壊れてしまうというわけです。
この弁は1度壊れると自然に修復できないため、血液の逆流を食い止められず、下肢静脈瘤が進行します。
下肢静脈瘤は発症しやすい人とそうでない人がいます。様々な原因が考えられますが、代表的なものを挙げると以下のような場合になりやすいと言われています。
性別ではほぼ1:2の比率で女性の発症が多くなっています。これは妊娠・出産が大きく関係していると考えられます。
妊娠中は黄体ホルモンが活発になり下肢に流れる血流量が増加するため静脈弁が壊れやすくなります。
下肢静脈瘤は30~50代に多く発症すると言われています。
これは加齢によって単純に静脈の弁の働きが悪くなるということも考えられますが、歩く機会が減るなど運動不足で筋力が弱くなり血管に負担をかけるのも要因の一つです。
美容師・調理師・販売員・教師など、立ち仕事の中でも同じ姿勢で長時間立ってあまり動かない人は下肢静脈瘤の発症率が高くなっています。
特に1日10時間以上立つ仕事は重症化しやすいと言われています。
血縁者に静脈瘤のある人は、逆流弁が弱い体質を受け継ぐなど下肢静脈瘤になりやすいとされています。
両親ともに下肢静脈瘤の場合、その子供の90%が発症するというデータもあるので遺伝的要素も無視できません。
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