ここでは網目状静脈瘤とクモの巣状静脈瘤の特長や原因、治療法について解説しています。
皮下すぐのところにある細い静脈に起こる静脈瘤としては、網目状静脈瘤とクモの巣状静脈瘤の2種類があります。
網目のように青色に浮き上がってみえるのが網目状静脈瘤で、それよりもさらに細い血管がクモの巣のように放射状に広がって見えるのがクモの巣状静脈瘤です。
網目状静脈瘤、クモの巣状静脈瘤は両方ともぼこぼこと血管が隆起することはありませんが、赤や青の血管の静脈瘤が広範囲に拡がります。
どちらも早期の治療が望まれますが、最初は異変に気がつかないことも多く、見た目や足のだるさ・疲労感から治療を受けるケースが多くなっています。
網目状静脈瘤は膝の裏側に起こることが多く、直径2~3mmの静脈が拡張してできた静脈瘤です。
一方、クモの巣状静脈瘤は太ももやふくらはぎ、膝裏などにできやすく直径1mm以下のとても細い静脈に起きる静脈瘤です。網目状静脈瘤とクモの巣状静脈瘤は見た目は似ています。
青または紫色の血管が網を広げたような模様になるのが網目状静脈瘤で、網目状に比べるともっと広範囲でクモの巣のように見えるのがクモの巣状静脈瘤です。
共通して言えるのは、どちらも細い静脈の血管の逆流防止弁が壊れて起きるものなので、静脈弁や静脈を治療する必要があるということです。
網目状静脈瘤、クモの巣状静脈瘤の治療法としては以下のものが採用されています。
一般的に、網目状静脈瘤やクモの巣状静脈瘤の治療で行われるのは、症状が出ている静脈に硬化剤を注入し、下肢静脈瘤をつぶす硬化療法です。
硬化剤には糊のような働きがあり、血液が流れにくくなった血管は徐々に小さくなって下肢静脈瘤ごと消えます。注射だけで済むので体への負担も少ないのが特長です。
血管内レーザー焼灼術とは違って、体の外側からレーザーを照射して静脈瘤を閉塞させる治療法です。
通常の硬化療法では難しい細かい静脈瘤を効果的に治療できるのが特長で、メスも使用せずに30分程度で済むため合併症のリスクや体への負担は少ないというメリットがあります。
但し、保険対象外なので自費診療になります。
下肢静脈瘤と間違えやすい病態に、リベド血管炎というものがあります。リベド血管炎は、足や腕に左右対称の皮斑や潰瘍が生じ、夏場に悪化しやすいのが特徴です。リベドは網状皮斑のことで、赤紫色の樹枝状または網目状の模様が出現します。1998年にイタリア人医師によって、livedo vasculopathyと命名され、その後病気として分類されるようになりました。リベド血管炎潰瘍疾患や血管性障害性疾患の一つで、原因不明の多発性皮膚潰瘍であり、下肢静脈瘤とは治療方針も異なります。
皮膚が正常に機能して、組織を維持するための大前提として、スムーズな血液循環が重要になります。血液循環を維持するには、血管壁がしっかりとしていること、血管がある程度の太さを保てることが必要です。
その血管の状態を維持するためには、血液が必要な栄養素を、皮膚全体に行き渡るように運ばなければなりません。それらが機能することによって、皮膚組織は正常の状態を保つことができるのです。
しかし何らかの原因によって、栄養を運ぶ血管に異常が生じ、壁が分厚くなったり、細くなってしまうと、必要な栄養が皮膚に行き渡らなくなってしまいます。すると皮膚は正常な状態を保つことができなくなり、皮膚に潰瘍や皮斑が生じたり、最悪の場合壊死ししてしまうのです。これがリベド血管炎のメカニズムです。
リベド血管炎は3つのタイプに分類されます。
冬の寒い時期に子供や成人女性に多く見られるのが特徴です。寒さで血流が悪くなることにより、酸素の少ない血液が、うっ滞することで、網状構造が保たれたリベドになります。
網目の途切れた状態(樹枝状)の模様が皮膚に現れるのが特徴です。原因は寒冷だけではなく、毛細血管や小静脈などの拡張だけではなく、さまざまな原因によって小動脈に炎症が生じた状態です。
悪化すると血管の器質的変化が生じて、上部皮膚の炎症や潰瘍になることもあります。
大理石様皮膚と樹枝状皮斑の間といえるタイプが網状皮斑です。網状構造は完全に閉鎖されていますが、大理石様皮膚よりはリベドが持続的です。気温が暖かくなると網目状が消失することもあります。
リベド血管炎は原因が解明されていないため、症状に対する対処療法が中心となります。血液凝固の予防薬を内服したり、ステロイドを併用したりする方法がよく用いられます。また足を冷やさないように保温したり、むくみを予防する弾性ストッキングなども予防に繋がります。
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