下肢静脈瘤手術後遺症が起きる可能性や、治療法ごとに考えられる合併症について解説しています。
血管外科で行われる下肢静脈瘤の手術においては、致命的となる後遺症や合併症の危険性は現在ほとんどありません。
従来から行われてきたストリッピング手術では全身麻酔や数日間の入院が必要とされていたため、血液のうっ滞による深部静脈血栓症が起きる可能性がありました。
しかし最近では血管を抜き取るストリッピング手術でも静脈麻酔と局所麻酔を組み合わせることで、日帰り手術が可能です。
また、主流になりつつあるレーザー手術では血管を抜き取る必要もないため体への負担が少なくなってきています。
もちろん合併症になる危険性はゼロとは言い切れません。
下肢静脈瘤の代表的な治療法となっているストリッピング手術、レーザー手術、硬化療法では以下のような合併症の可能性が考えられます。
ストリッピング手術では皮下出血や色素沈着などが見られる場合があります。
また、歩行や日常生活が困難になるような後遺障害になることはありませんが、静脈をワイヤーで取り除く時に知覚神経を傷つけ、足のしびれや痛みを感じるようになることがあります。
いずれの症状も永続的なものではなくほとんどの場合、数ヶ月経てば次第に収まっていきます。
レーザー手術は合併症のリスクは少ないことが特長となっていますが、色素沈着や皮下出血(青あざ)などストリッピング手術と同様の症状が時々見られることがあります。
また稀なケースですがレーザーの熱や静脈を持ち上げる時に知覚神経が傷つくことによりしびれを生じることがあります。
こうした症状が出た場合も通常は2週間程度でよくなり、長く続くことはありません。
硬化療法は厳密には手術とは言えませんが、他の手術と併用されるケースが多い治療法です。
考えられる合併症としてはしこり、色素沈着などがありますが時間お経過とともに自然に消失します。
また、治療1~3ヶ月後にずきずき痛みを感じることがありますが、これは血栓性静脈炎を起こしているためです。
そのままにでも治まりますが、気になる場合は内服薬や塗り薬で回復を早めることができます。
以上のように下肢静脈瘤の手術によって合併症が起きることはあっても、いずれも時間が経てば回復するものばかりで、歩けなくなるといったような深刻な後遺症になることはまずありません。
-->