ここでは高位結紮とはどのような方法で足の静脈瘤を治療する手術なのかを解説しています。
高位結紮とは静脈瘤が発生している静脈を高い位置で縛りつけることにより、血液の逆流を止める治療方法です。
結紮とは縛るという意味で、具体的には弁不全を起こしている伏在静脈が深部静脈に合流する部分を縛ります。また深部静脈以外の血管からの血液の逆流を防ぐために周辺に枝分かれする血管も結紮することになります。
下肢静脈瘤は静脈弁が壊れてしまい、心臓へと送り返されるはずの血液が逆流してうっ滞することで発症します。そこで静脈弁に代わって縛りつけることで逆流を防ぐというのが高位結紮の基本的な考え方です。
手術は血管エコー検査により静脈の弁不全の位置や分枝の状態を確認した後に、大伏在静脈の場合は太ももの鼠径部(付け根)を、小伏在静脈の場合は膝窩部(膝の裏側)を1.5~2cm程度切開して行われます。
レーザー手術が主流となった現在、単独での根治が難しい高位結紮術を選択するのはほぼ稀といえます。
高位結紮術は、伏在静脈本幹が蛇行していてカテーテルやストリッピングワイヤーが通らない場合や、側枝型静脈瘤といわれる伏在静脈から枝分かれした静脈の一部が静脈瘤になった場合のような、比較的軽度な症状において硬化療法との併用による治療が考えられます。
また、伏在型静脈瘤でも足根部においては高位結紮術が使われたり、ストリッピング手術後の血管新生によって静脈瘤が再発した場合や、血栓症を伴う場合の緊急処置として適用されることもあるようです。
レーザー手術やストリッピング手術と比較した場合、最大のメリットは傷口が数cmと小さく、またおよそ15分という短時間でできる点が挙げられます。治療費についても、レーザー手術やストリッピング手術のおよそ1/3程度と安価で治療が受けられます。
一方で、高位結紮術単独での根治が難しいことや、足の付け根で血管を縛って血液の逆流をとめる術式なので再発の可能性が高いことが最大のデメリットであり、根治が見込め且つ再発率が低いレーザー手術やストリッピング手術の方が効果の面で優位といえます。
また、高位結紮術は患者さんの負担が少なく日帰り手術が可能ですが、レーザー手術やストリッピング手術ともに局所麻酔によって日帰り手術が可能な医療機関が増えてきており、この点においても大きな優位性はないといえるでしょう。
特にレーザー手術が保険適用になり下肢静脈瘤治療の主流となった現在、高位結紮術を積極的に推奨する医療機関はあまりないかもしれません。
高位結紮術後に起こりうるトラブルは静脈瘤の再発が挙げられます。
高位結紮術が適用になるのは比較的軽度な症状に対してですが、そもそも治療が必要になる前、足にむくみやだるさを感じるようになった段階で、運動やマッサージさらに食事の改善など、できるだけ早く予防対策をするようにしましょう。
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