ここでは下肢静脈瘤(あしの静脈瘤)から生じる皮膚潰瘍の症状や治療法などについて解説しています。
足にできる皮膚潰瘍は静脈うっ滞性潰瘍とも呼ばれ、その多くは下肢静脈瘤や下肢静脈還流異常から生じます。
下肢静脈瘤の症状が悪化すると、まず色素沈着や湿疹などが起きるうっ滞性皮膚炎になります。
そのまま放置してしまうとさらに症状がひどくなり、患部が膿んで腫瘍ができ皮膚に穴が空いてしまいます。
皮膚潰瘍は下肢静脈瘤が最も重症化した状態のことで、静脈が破裂して大きな傷口になったり感染症を引き起こし、出血を伴うため歩くことも難しく正常な日常生活が送れない状況になります。
下肢の慢性的な静脈うっ血が原因となっていることがほとんどで、潰瘍になると再発するケースも多く、10年以上治ったりできたりを繰り返す人もいるため難治性の潰瘍の一つと言えるでしょう。
皮膚の異常のため皮膚科で治療を受ける人も多いですが、もともとの原因が下肢静脈瘤のため外用薬だけで完治することはありません。潰瘍になる前の段階で早期に静脈瘤の治療を受けることが重要です。
皮膚潰瘍(静脈うっ滞性潰瘍)の治療の基本は、圧迫療法などの保存療法と慢性静脈不全に対する外科的手術療法の両面から行うことです。
圧迫療法では弾性ストッキングや弾性包帯などを着用しますが、通常静脈瘤治療を行うときよりも強い圧迫圧を必要とされます。
慢性静脈不全の手術は下肢静脈瘤を治療することと同じで、硬化療法やストリッピング手術、血管内レーザー焼灼手術などが行われます。
これまでは患部を切開して皮膚を除去したり、潰瘍部分に皮膚を移植するなどの外科的手術も行われていました。
しかしこの方法は患部に傷ができて新たな潰瘍を形成してしまったり、炎症が広がってしまう可能性があるため、最近では内視鏡を使ってできるだけ患部を切開しない治療も試されています。
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