不安をなくそう!下肢静脈瘤のやさしい解説まとめ

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漢方について

ここでは下肢静脈瘤の症状に有効とされる漢方について、下肢静脈瘤との関係性やおすすめの漢方薬などを解説しています。

漢方と下肢静脈瘤の関係とは

漢方には、冷え性やむくみといった血流に関連する症状を緩和・改善するものが存在しています。

ただし、漢方とは「人間が持っている自然治癒力を高めて体の状態を整える」ことを主眼としており、病気の原因にアプローチすることを目的とした西洋医学とは異なります。

そのため、漢方薬を飲んだからといって下肢静脈瘤が完治するわけではなく、あくまでもむくみやだるさといった症状を緩和させたり、下肢静脈瘤の予防が目的となります。

しかしながら現在では薬との併用による治療なども行われており、実際に下肢静脈瘤の女性患者約7割に効果が認められたという報告もあるそうです。

さまざまな対策のなかの一つの方法として、漢方が持つ作用を理解し有効活用することが、下肢静脈瘤の改善への近道といえるでしょう。

下肢静脈瘤におすすめな漢方

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

桂枝茯苓丸は血行を良くする漢方薬として最も多く使われており、体の熱のバランスを整えることで下肢静脈瘤の症状であるむくみなどを改善。

それ以外にも生理不順や生理痛、頭痛、めまい、肩こり、のぼせ、冷え性にも有効とされており、更年期障害や子宮内膜症、肝臓病などにも用いられています。

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防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)

体内の水分循環を改善する「防已(ぼうい)」を主な生薬とする防已黄耆湯には、むくみをとる働きがあります。

また、疲労や痛みを緩和する効果があり、肥満症(水ぶとり)、多汗症、リウマチ性関節炎、胃炎、ネフローゼなどにもよく用いられます。

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五苓散(ごれいさん)

防已黄耆湯と同様、水分循環を改善する漢方薬です。下肢静脈瘤の症状であるむくみの改善が期待できます。

その他、吐き気、下痢、頭痛、めまいにも効果があり、二日酔いやドライマウスの際に処方されることもあります。

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柴苓湯(さいれいとう)

水分循環の改善や免疫反応の調整などに用いられる漢方薬です。

その効果は五苓散と似ており、胃腸炎に伴うむくみ、嘔吐、下痢を改善。また、喘息、肝炎といったアレルギーや免疫系が関わる病気の他、ネフローゼ症候群、不育症(習慣流産)、妊娠高血圧などの治療にも用いられています。

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八味地黄丸(はちみじおうがん)

八味地黄丸には体を温めたり、低下した体の機能を回復させる働きがあり、主に腎機能の回復による頻尿や残尿感、軽い尿もれ、寝ているときに何度もトイレに行きたくなるといった尿に関するトラブルの改善に用いられる漢方です。

下肢静脈瘤の症状に対しては、血行障害を改善して血流を良くしたり、体温を高めて新陳代謝を促すことでむくみを緩和するという効果も期待できます。

ほかにも、足腰の痛みやしびれ、乾燥肌による痒みや湿疹、糖尿病や前立腺肥大症などに処方されることがあります。

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当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

当帰芍薬散は、生理不順や足腰の冷えを改善する漢方薬として女性に多く処方されています。産婦人科の三代漢方薬の一つで、全身の血のめぐりを良くして体を温め、体内の余分な水分を取り除く働きがあります。

体力虚弱で冷え性で、貧血傾向があり、疲労しやすい人に対して有効です。他にも倦怠感や頭痛、めまい、肩こり、耳鳴り、しもやけなどの改善効果が期待できます。全身の血行を良くすると同時に、水分代謝を整え余分な水分を体から取り除くため、下肢静脈瘤のむくみ予防にも効果的です。

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六味丸(ろくみがん)

六味丸は八味地黄丸(はちみじおうがん)」から「桂皮(けいひ)」と「附子(ぶし)」の成分を抜いた漢方薬です。「腎」(現代医学でいうと腎臓、副腎、生殖器、膀胱などの泌尿器系を広く指す)の機能障害に対して処方されます。「腎」の機能は特に加齢によって衰えやすいのが特徴です。

疲れやすい、尿量減少、頻尿などの症状に有効です。また手足のほてり、口が乾く、皮膚の乾燥、かゆみ、むくみなどの改善にも効果が期待できます。

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下肢静脈瘤に対する漢方がもつ働き

下肢静脈瘤を治すには、手術などその進行度合いに適した治療を実施する必要があります。

その上で、漢方にできること、漢方に期待することは、血液の流れが滞って古い血が停滞し血栓やしこりができやすい状態である「瘀血(おけつ)」の改善をサポートすること。

せっかく治療を行っても、完治するまでの過程において今までと同じ生活をしていては、完治に時間がかかってしまったり、最悪の場合再発の可能性も否定できません。

例えば血流が鬱滞しやすい体質の方であれば、生活習慣の改善と併せて、「体を温める」「水分循環を整える」といった血行を促進する漢方薬を飲むことで体質の改善をはかることも重要になってきます。

症状の緩和や予防だけでなく、治療から完治に至るまでのサポートもまた、漢方の働きの一つといえます。

飲みにくい漢方を摂りやすくするには

漢方には様々な種類があり、それぞれ味や香りが違います。中には口当たりのよいものもありますが、そのほとんどが「飲みやすい」とはいえません。

そこで、直接服用するのではなく、味がわからないようにしたり、何かに混ぜたりして飲むという方法があります。

独特な苦味を感じないようにするには、オブラートに包むとよいでしょう。ボンタンアメに代表される紙状のものや、最近ではゼリー状のオブラートも用意されています。

あとはお湯で溶かしたり、他の食べ物に混ぜるという方法も有効です。

苦味をごまかすのであれば、そもそも苦味のあるココアや、味・香りを包み込む乳酸飲料やカルピスなどが挙げられます。なお、漢方とカフェインは相性が悪いとされていますので、コーヒーはおすすめできません。

意外なところでは、アイスクリームに混ぜて飲むという方法もあります。薬剤師さんにスポットを当てたドラマのなかでも、チョコレートアイスにお薬を混ぜてお子さんに飲ませていました。

その他、砂糖、ジャム、ヨーグルト、練乳、ハチミツなどで味を変えるといった方法もあります。どうしても漢方の味や香りが苦手という方は、ぜひ試してみてください。

あくまで漢方は症状を緩和するためのサポート

様々な効果が期待できる漢方ですが、あくまで血の巡りを良くして症状を和らげることが目的であり、漢方によって下肢静脈瘤が改善・完治するということはありません。

静脈弁が破壊され症状が進行した重度の下肢静脈瘤の場合、漢方での緩和ではなく外科的手術が必要になります。術後の漢方の処方については、医師と相談の上、症状緩和や血行促進のサポートとして使うようにしましょう。

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