ここでは、下肢静脈瘤の症状緩和に用いられる漢方のひとつ、五苓散(ごれいさん)について詳しくご紹介しています。
五苓散は体の水分代謝を促し、口内の渇きや尿量が少ないといった水滞(すいたい)を改善する漢方薬です。
漢方の考え方では、二日酔いで顔がむくんだり、頭痛がしたりする症状は体の中に「水(すい)」が滞った症状であるとされています。五苓散は、お酒の飲み過ぎなどで、体に溜まってしまった余分な「水(すい)」を体の外への排出を促すのが特徴。
二日酔いの症状がある際に使われるのが一般的で、飲みすぎが原因で翌朝顔が腫れている・お腹が壊れたという方や、お酒を飲んでいるときにトイレにいく回数が少ないと感じる方に有効とされています。
体の水分代謝を促し余分な水分を排出することで、下肢静脈瘤の症状である浮腫(むくみ)を緩和してくれます。
下肢静脈瘤に伴う症状以外では、二日酔いなどによる吐き気やむかつき、急性胃腸炎、水様性下痢、頭痛、めまい、暑気あたり、ドライマウスなどに効果があります。
また、突発性難聴に対して処方されることもあるようです。
最近では、脳の血管が詰まってしまい、重篤な後遺症を引き起こす「脳梗塞」になった後に起こる脳浮腫にも有効であるという報告もあります。
また、メニエール症候群や起立性低血圧による立ちくらみにも五苓散は効果があるといわれています。適応になるかどうかは、気圧や天気の変化によって症状がひどくなるかというのが一つの指標になります。低気圧の接近により頭痛やめまいが起こる人の場合は効果が得やすいでしょう。
「食べる量は多くないのに、水やお酒を飲むだけでも太ってしまう」という方は、新陳代謝が悪く、体内の水分を処理しきれずむくみとなってしまっている可能性が高いです。
こういったいわゆる「水太り」については、五苓散などの水分代謝をよくする漢方薬によって改善することができます。
一方で脂肪太りが原因の肥満の場合、水分以外の体内に溜まったものを出す働きをもつ生薬を配合した防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)や大柴胡湯(だいさいことう)といった漢方薬が有効と考えられます。
五苓散は、利尿薬的な働きをもつ生薬が多く含まれているのが特徴。なかでも「猪苓(ちょれい)」は排尿トラブルによく用いられる生薬です。
その他、利尿作用や発汗作用、口渇・水様性の下痢・冷え性・頭痛・めまいなどを改善する「桂皮(けいひ)」「蒼朮(そうじゅつ)」「沢瀉(たくしゃ)」や、尿量減少や消化不良以外および生理不順・生理痛・更年期障害・食欲不振といった症状に効果がある「茯苓(ぶくりょう)」など、5種類の生薬が配合されています。
五苓散は特に重い副作用はありませんが、発疹・発赤・かゆみといった皮膚に関する症状や、体のだるさを感じる場合があります。
また、服用した際に胃に不快感を覚えたり、食欲不振や軽い吐き気が起こることもあるようです。
これらの初期症状が出た場合は、すぐに医者の診察を受けることをおすすめします。
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