ここでは、下肢静脈瘤の症状緩和に用いられる漢方のひとつ、柴苓湯(さいれいとう)について詳しくご紹介しています。
柴苓湯は免疫反応を調整したり、水分の循環を改善するのに用いられる漢方薬です。
柴苓湯は、疲れをとったり病気の回復をサポートする「小柴胡湯(しょうさいことう)」と、体の水分代謝を促すなど二日酔いの症状に効果的な「五苓散(ごれいさん)」を合わせた、いわゆる合剤漢方です。
柴苓湯はステロイドに類似した作用があるため、炎症や自己免疫疾患(関節リウマチ・全身性エリトマトーデス)などにも処方されます。
また、妊娠後期に起こりやすい手根管症候群にも適応となります。手根管症候群は手首にある正中神経という末梢神経が圧迫されることで、手にしびれが生じる病態です。妊娠後期になると、胎児に血液を送る量が増えて、循環血流量が増加し、むくんでしまいます。むくみによって神経が圧迫を受けるため、手がしびれるのですが、柴苓湯はこのむくみを軽減させる効果が期待できます。
柴苓湯の効果は五苓散と似ており、水分代謝を促して余分な水分を排出することで、下肢静脈瘤の症状である浮腫(むくみ)を緩和します。
下肢静脈瘤に伴う症状以外では、胃腸炎などによる嘔吐、下痢を改善。また、喘息や肝炎といったアレルギーや免疫系が関わる病気の他、疲労感、食欲不振、ネフローゼ症候群、不育症(習慣流産)、妊娠高血圧などの治療にも用いられています。
また低カリウム血症により起こるミオパチー(筋肉の異常)にも効果が期待できます。ミオパチーは他の病気と症状が似ていますが、脱力感、手足の痙攣、麻痺などが見られた場合もあるので注意深く観察するようにしましょう。
「運動しているのになかなか痩せられない」「食べる量はそんなに多くないのにぽっちゃり体型になってしまっている」という方は、水分代謝が悪くなることで起こる「水太り」といわれる肥満症の可能性があります。
柴苓湯には体の水分循環を整えてくれる五苓散が含まれており、水分代謝を促す食事や適度な運動と併せて柴苓湯を用いることで徐々に体質が改善され、筋肉がしまってくるなどのダイエット効果が期待できます。
ただし、漢方が必ずしも体に合うとは限らず、かえって体調を崩してしまうかもしれませんので、漢方ダイエットを試してみる際には、必ず専門家に相談してから行うようにしてください。
柴苓湯には、炎症を和らげたり解熱・鎮静・解毒作用がある「柴胡(さいこ)」「黄芩(おうごん)」、消化不良・下痢・嘔吐感・食欲不振などに効果がある「半夏(はんげ)」「人参(にんじん)」「茯苓(ぶくりょう)」、健胃をサポートする「甘草(かんぞう)」「生姜(しょうきょう)」、利尿作用や発汗作用などがある「大棗(たいそう)」「猪苓(ちょれい)」「桂皮(けいひ)」「蒼朮(そうじゅつ)」「沢瀉(たくしゃ)」など、12種類の生薬を配合しています。
柴苓湯には、発疹・発赤・かゆみ・蕁麻疹といった皮膚に関する症状の他、腹痛、下痢、嘔吐、便秘、頻尿、排尿痛、血尿、残尿感、膀胱炎、口内が渇く、食欲がない、胃がむかむかするといった様々な副作用が報告されています。
また、ごく稀に間質性肺炎や偽アルドステロン症といった重い副作用が出る場合があるようです。重篤な症状になると合併症の危険性も上がりますので、症状が確認された場合はすぐにクリニックを受診してください。
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