弾性ストッキングによる下肢静脈瘤の対策方法や選ぶ際の注意点などについて解説しています。
弾性ストッキングによる下肢静脈瘤の対策は圧迫療法と言って、足全体を圧迫することで静脈の血液の逆流を抑えて症状を軽減させる効果があります。
弾性ストッキングはどのような治療法を選択しても必ず使用され、下肢静脈瘤の治療では不可欠なアイテムの一つとなっています。
一定の力でただ全体を圧迫するのではなく、足首の圧迫圧が最も強く、上に行くほど圧迫圧が弱くなる段階的圧迫法が採用された設計になっているのが特長です。
着用すると筋肉が直接圧迫されるため筋ポンプ機能がよく働くようになり、血液の逆流が減少することになります。
その結果、血液が心臓に戻りやすくなり、下肢静脈瘤によって停滞してしまっている血液の循環を改善することができるというわけです。
メリットとしては履くだけで一定の効果が得られる手軽さ・簡便さがあります。
圧迫療法では弾性包帯が用いられることもありますが、着脱のことを考えると弾性ストッキングの方がより楽にできます。
但し、圧迫療法の目的は進行防止や現状維持になりますので、症状が緩和されても下肢静脈瘤そのものが治るわけでありません。根本的な治療を行うためには医師とよく相談することをおすすめします。
弾性ストッキングは足を強く圧迫するように作られているため、利用には注意が必要です。圧迫圧が強くなるほどトラブルが起こる可能性も高まるので、まずは弱圧のものから試してみるのがおすすめです。軽いむくみ程度であれば、弱圧の弾性ストッキングで十分とされています。
ただし、サイズが合っていなければ効果は得られません。メーカーによってサイズは異なりますが、サイズ表を確認して自分に合ったものを選びましょう。
弱圧タイプを試してみて効果が弱いと感じた場合は、中圧・強圧と圧を上げていくことになりますが、トラブルを避けるためにも医師の指導をもらいながら決めるのが良いでしょう。
弾性ストッキングには、大きく以下の4種類があります。
最もスタンダードなタイプになります。靴下の要領で使用するので着脱が容易で価格も比較的安価ですが、大腿部の圧迫はできませんので足全体を圧迫したいのであれば不向きといえるでしょう。
大腿部まで圧迫できるタイプです。着用方法はハイソックスタイプとほぼ同じなので着脱は容易といえますが、長期間使用していると圧迫が弱まってずり落ちてくることがあります。
腰の位置までつながっているので、大腿部まで圧迫できて且つずり落ちにくいのがパンストタイプです。ただし、他と比べて値段が高い、着脱に多少時間がかかる、むくみに左右で差がある場合は使いにくいといったデメリットもあります。
片足だけむくんでいる、もしくは左右で差があるといった方向けなのが、片足用の弾性ストッキングです。パンストタイプとベルト付きのものがあります。
弾性ストッキングは下肢静脈瘤に代表される静脈疾患の症状である、足のむくみ・だるさ・こむら返りなどの症状を改善します。
そのため、深部静脈血栓症(DVT)やエコノミークラス症候群(肺動脈塞栓症)、リンパ浮腫などの症状改善にも効果があると考えられます。
一方で、動脈血行障害や糖尿病を患っていると、弾性ストッキングによって血行障害が悪化したり、皮膚に炎症性疾患や化膿性疾患があると圧迫によって炎症が悪化することがあるようです。
その他にも、うっ血性心不全の患者さんの場合、圧迫によって心臓へ送られる血液が増加することでさらに心臓に負担をかける危険性もあるなど、何か疾患をお持ちの方は使用の際に注意が必要です。
弾性ストッキングは足を下から上へと段階的に圧迫するストッキングで、むくみや血液のたまりを予防する効果があります。使用目的は「静脈の血液の逆流を抑えて症状を軽減させる」ことです。
しかし、弾性ストッキングのタイプやサイズの選択を間違えると効果が出なかったり、逆に症状を悪化させたりする可能性もあります。初めての場合はまず弱めの圧力から使い始め、普段履いている靴と同じサイズのものを選びましょう。また、血液がたまるのは主にふくらはぎなので、膝下までのタイプで十分に効果があります。 弾性ストッキングは、まる一日中履き続ける必要はありません。基本的には足が心臓より下に位置するとき、要するに日中に着用するだけで充分です。なお、ベッドなどで横になって寝ているときは心臓と足の位置がほぼ平行になりますので、むくみが相当激しい場合を除き、基本的には着用する必要はありません。夜間に履く人も多いようですが、実は夜間だけ履いてもあまり意味はありません。
例えば立ち仕事をして夕方以降に足がむくむという方の場合、それは働いている時間の負担が蓄積されて起こっていることになりますので、症状が出始めてから着用するのではなく、足に負担がかかっているときに着用するのが正しい方法です。
日中に足を圧迫しておけば、夜間や就寝時のむくみやこむら返りといった症状を和らげることができます。弾性ストッキングは特殊な素材でできているので、長時間履き続けることは皮膚にとって悪影響を与えかねません。皮膚トラブルを避けるためにも、長時間履き続けることはやめましょう。圧迫圧が強い弾性ストッキングを長時間履くことで、繊維との摩擦やゴムの部分によるかぶれ、蒸れが起こることがあります。
そういったトラブルがあった際には、履く時間を調整したり、保湿剤を塗るなどの対応を試してみてください。
また、どうしても肌に合わないといった場合は、医師に相談の上、使用をやめることも検討しましょう。
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