ここでは下肢静脈瘤の原因となる靴、予防につながる靴など日常で気をつけたい履き物について解説しています。
下肢静脈瘤の発症には、履き物も大きく影響しています。
その代表がハイヒール。女性に下肢静脈瘤の発症率が高いのは、ヒールの高い靴や厚底の靴を履いている人が多いせいだといわれます。ハイヒールは重心が不安定でバランスが悪く、歩くときに足首が曲がりにくくなってふくらはぎの筋肉を使わないからです。これは膝下まであるブーツなども同様です。
下肢静脈瘤の原因は、下肢の静脈弁がうまく機能せず血流が逆流してしまうことです。そのリスクを高めるのが運動不足。静脈血は筋肉から刺激によって正常に流れますが、ハイヒールを履くことで筋肉を使わなくなると、運動不足で刺激が減って血液が停滞し、静脈弁が壊れてしまうのです。
下肢静脈瘤予防のためにはできるだけハイヒールを履かないことがいちばんですが、仕事などの関係でそうもいかない場合もあるでしょう。ハイヒールを履く仕事の人は履かない日をつくったり、足に負担の少ない5cm以下のヒールにしたりするなど、ふくらはぎを使うことを意識して歩くようにしてください。
また、寒い時期になってくると保温靴下を履く人も多くなってきますが、実はこれも要注意です。日中に足の甲を温めていると、足の血管で血液の暴走が起こってしまい、結果的にむくみや冷えを引き起こすことにつながります。
靴は少しゆとりのあるサイズを選び、締め付けは靴ひもで調整できるタイプを選びましょう。温めすぎないよう心がけることも大切です。ハイヒールとは対照的に下肢静脈瘤の予防に役立つのがウォーキングシューズです。なぜなら歩きやすい上にふくらはぎの筋肉を使いやすくできているからです。
かかとが低ければランニングシューズでもいいのではないかと思われるかもしれませんが、走るために最適に作られているため、歩く時はかえって体への負担が大きくなってしまいます。
同様にハイカットのトレッキングシューズもあまり良くありません。くるぶしを包み込む構造になっているため、長い間歩くと靴擦れやうっ血を起こしたりしてしまうからです。
ウォーキングシューズはかかと部分の衝撃吸収性が高く、歩く際の足の動きや蹴りだす動きを考慮した構造になっています。
歩く時に足や膝、腰への負担が軽く、ふくらはぎの筋肉をしっかり使うためにはウォーキングシューズが最適ということになります。
ウォーキングは血液のうっ滞を防ぐための運動療法の一つとしても推奨されていますので、正しい靴選びでしっかりケアするようにしましょう。
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