下肢静脈瘤の対策・予防するには、どんなサプリメントが最適でしょうか。ここでは、効率的なサプリメントの摂取方法や主要成分などを紹介しています。
サプリメントを選ぶ際に大切なのは、継続できるものを選ぶこと。例えば、水溶性ビタミンであるビタミンB群、ビタミンCは、体にとどまる時間は数時間です。
そのため1日2~3回に分けて飲むことが理想的です。難しい場合は、長時間効果が持続するタイムリリース加工されているものを選びましょう。
サプリメントを継続するには価格帯も重要です。はじめに無理なく続けられる一ヶ月の予算を設定します。サプリメントの費用が負担となって、普段の食生活が疎かにならない価格のものを選びましょう。
下肢静脈瘤の対策・予防は「静脈の老化を防ぐ」ことがポイントです。そのためには、必要な栄養素を効率よく摂取するためのサプリメントを選ぶことが大切です。
Tie2(タイツー)とは、血管内皮細胞にある受容体型酵素です。血管の細胞どうしをくっつける接着剤の役割をしており、丈夫な毛細血管を形成する働きをしています。
壁細胞から分泌されるたんぱく質の一種である「アンジオポエチン-1」という成分が作用するとTie2が元気になり、毛細血管の劣化を抑えて安定させます。
しかし、加齢や生活習慣、ストレスなどにより壁細胞がダメージを受けると「アンジオポエチン-1」が分泌されにくくなります。
その結果、Tie2を元気にできず、毛細血管にゆるみや隙間ができてしまい、そこから大切な血液や栄養が漏れ出してしまいます。
毛細血管を元気にするためには、Tie2を元気にできる状態を維持することが大切なのです。
ビタミンPとは、“ビタミン様物質”と呼ばれており、フラボノイド骨格をもつポリフェノール「ヘスペリジン」や「ルチン」「エリオシトリン」などの総称です。
ビタミンPは毛細血管を強くして血流を改善する効果があり、熟す前の青ミカンの皮や袋、筋や蕎麦に多く含まれています。血管壁を強くする効果もあるので、血管の拡張を防ぎ、下肢静脈瘤を予防するのに役立つでしょう。
ブッチャーズブルームなど利尿作用や血行促進効果があるハーブ類。末端の血行をよくするハーブ類には静脈瘤が原因でおこる痙攣を緩和する効果があります。マッサージを行うときのオイルとして使用すれば、体を温め、血液循環の改善にも役立つでしょう。
一般入手しやすいのはカリウム豊富で抗酸化成分も含まれるルイボスティー。クセのない味が人気のローズマリー。独特な酸味が魅力のハイビスカスなどです。
食物繊維は他の栄養素と異なり、腸で吸収されず、そのまま便として排出されます。
便秘の方であればその改善に繋がり、老廃物も一緒に出すことで腹圧が低下するため、静脈圧もさがり、下肢静脈瘤の予防に繋がります。
過剰に摂取しても体に蓄積されることがないので積極的に摂取しましょう。
オメガ3脂肪酸とも呼ばれ、体内の様々な機能において重要な役割を果たしている多価不飽和脂肪酸です。
EPAとDHAはイワシサバなどの青魚やマグロ、サケなど脂が多い魚、牡蠣、ムール貝などの貝類、荏胡麻や亜麻仁などの種子に豊富に含まれています。
血液粘度を下げて血流をスムーズにすることからEPA・DHAを摂取すれば血管が詰まりにくくなり、下肢動脈瘤の予防に効果的です。
ビタミンC、E、Aには下肢静脈瘤によるだるさや痛みを緩和する効果があるといわれています。フルーツなどから手軽に摂取可能。ビタミンCには鉄の吸収を助ける働きがあり、鉄分不足のむくみには効果的です。
ビタミンEには血行促進効果があるので、うまく摂ることでむくみ防止に繋がり、抗酸化力があるビタミンAは血管内皮膜の酸化や炎症を抑え、安定性を維持する作用があります。
緑茶やみかん、ぶどうなどの果実、キャベツなどの野菜、カカオマスに多く含まれるポリフェノールは、高い抗酸化力を持つ成分。下肢静脈瘤の原因となる活性酸素を取り除き、炎症やむくみを改善して血管を強化する働きがあります。
下肢静脈瘤によるむくみやだるさ、痛みなどを改善する効果もあるといわれています。
ピクノジェノールとは、出産後の下肢静脈瘤に効果があるとされる機能性食品素材で、フラボノイド類を主成分としています。フランス海岸松を原料としており、生育地はフランスの南西部の森林です。樹齢25年~30年のフランス海岸松の樹脂から天然の植物由来成分を抽出し、その成分を損失しないよう、伐採した後24時間以内に製品化されています。
また、ピクノジェノールの安全性は、急性毒性試験、慢性毒性試験、変異原性試験、ヒトパッチ試験、生殖毒性試験などさまざまな試験により証明されています。安全性にも配慮し、水とエタノールのみで抽出。
フラボノイド類には抗炎症作用や抗酸化作用の効果があるので、医学まで応用して利用されています。ピクノジェノールを摂取することで期待できる効果は、毛細血管の強化、血流改善、静脈瘤の予防と改善です。
イタリアのグループの実験により、出産後に生じる下肢静脈瘤への炎症を抑えるのに有効的な成分であるとの結果が出ています。
クマリンとは下肢静脈瘤を予防する効果の高いハーブです。豆化の植物のことを指し、セイヨウヒイラギやスイートクローバーという別名もあります。摂取することで足の痛みやだるさ、痙攣やかゆみ、腫れなど、慢性的な静脈瘤の症状を緩和できるでしょう。
ただし、強力なので大量に摂取すると肝臓に一時的な障害をきたす危険性があり、扱いには注意が必要です。使用する際は用法用量を守り、肝機能が低下している方や、他に服用している薬がある方、妊娠中や授乳中の方などは、使用を避けた方が賢明でしょう。
下肢静脈瘤の対策に効果的な栄養素を紹介しました。ただしサプリメントは「栄養補助食品」です。
手軽に摂れるのはメリットですが、それより大切なのは「規則正しい食生活」です。
食事だけでなく運動や休養(睡眠)など正しい生活習慣を身につけていきましょう。
ある調査によると、日本人の10人に1人、15歳以上にいたってはおよそ4割、さらに出産経験のある女性の約半数が下肢静脈瘤を持っているといわれており、直立二足歩行を常とする人間は、誰でも下肢静脈瘤になる危険性があるのです。
もちろん直立二足歩行だけが原因ではなく、下肢静脈瘤を発症するにはいくつかの原因があります。
代表的なものでいえば、長時間の立ち仕事、偏った食生活や運動不足による肥満、子宮が大きくなる妊娠、遺伝など。
誰にでも起こりうる病気だからこそ、少しでも足にむくみや痛みを感じたら、できるだけ早く対策を行なう必要があり、その中の一つとしてサプリメントという選択肢が挙げられます。
下肢静脈瘤を完治させるには、病院で適切な治療を受ける以外なく、自然治癒やセルフケアだけではほぼ不可能です。
では、下肢静脈瘤とサプリメントとの関係性とはなんなのか、それは「予防もしくは症状緩和のためのサポート」です。
手軽にはじめられるセルフケアには定期的なマッサージや歩行を中心とした適度な運動、弾性ストッキングの着用などがあり、サプリメントは毎日の食生活の改善とセットで考えるべきでしょう。
下肢静脈瘤の予防や症状緩和に必要なのは血流の改善であり、そのための「血行促進」「血管の強化・修復」「老廃物や余分な水分の排出」をサポートする栄養素を積極的に摂ることが求められます。
しかしながら、普段の食事だけで必要な栄養素を網羅するのはなかなか難しいので、サプリメントによって摂りにくい栄養素を補完するのが最も理にかなった方法といえます。
前述したように、下肢静脈瘤を完治させるには病院での適切な治療が必要であり、内服薬・サプリメント・漢方はあくまで症状緩和や予防のための補助となります。
ただし、治療によって完治すれば二度と下肢静脈瘤にならないかというとそのような保証はなく、治療後のケアも重要です。
なかには治療と並行してサプリメントを処方するクリニックもあるなど、治療プラスアルファという位置付けでサプリメントを活用するのが理想的といえるでしょう。
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